ネットで債権届け出

企業の倒産手続きのIT化がようやく動き出すのだそうで、2020年にも、破産管財人などがインターネットを通じ、国内外にいる債権者の債権の届け出を受け付けられるようにするのだとか。

ネットを活用し、倒産手続きのスピードと効率を上げ、債権者の保護と企業の早期再建につなげる狙いがあるようで、弁護士や大学教授、政府の担当者らが参加する「倒産手続きのIT化研究会」(座長・杉本純子日本大学教授)が提言をまとめたようで、今後、必要な手続きを経て早期の実現を目指すのだそうです。

企業が倒産の手続きに入る際、現行のルールでは、申立書の提出や債権の届け出といった手続きすべてを紙の文書でやりとりするのですが、債権者への通知は郵送となっており、時間も費用もかかるのが実態となっています。

研究会は、裁判所の管理下で進める倒産手続きのうち、

(1)債権の届け出 (2)企業の財産状況などの情報提供

については、現行の法律を改正せずに手続きをIT化できると結論づけ、試行段階として、世界各地に拠点を持つような大企業の倒産案件が対象となる見通しのようです。

裁判所が認めれば、ネットで管財人が債権の届け出を受け付けるようにし、メールや専用サイトで集約する手法などを検討するようです。 そして、海外の債権者からの届け出も受け付けられる仕組みを整え、続いて中堅・中小企業を含むすべての企業に対象を広げる。 民間のリーガルテック企業と連携し、共通のオンライン債権届け出システムを整備する案も浮上しているのだそうですよ。

IT化の利点は企業、債権者の双方にとって便利になり、コストも節減できることで、10年に会社更生法の適用を申請した消費者金融大手の武富士の債権者は約91万人だったそうで、その通知書など郵送料だけで6億円もかかり、その費用は企業の資産から差し引くため、債権者への弁済総額が減ったのだそうで、これをIT活用できれば送付費用などは減らせることができます。

また海外からの債権届け出も容易になるようで、14年に暗号資産ビットコインが消失し、経営破綻した交換会社マウントゴックスは利用者が10万人を超えており、破綻時の債権者の大半が外国人だったこともあり、債権者の所在地が約100カ国に及び、東京地裁は特別な事例として管財人にオンラインによる債権届け出を認めた経緯があります。

政府は今後、民事裁判手続きのIT化も順次進める方針で、有識者の検討会では、訴状の提出や記録の保管・閲覧、事件管理、ウェブを活用した口頭弁論などが課題となっています。